わたしの台所
スズキエミさん

第2話
台所仕事を“ごきげん”に
進める小さな工夫

料理好きなあの人の、ふだんの台所を見せていただく連載。
料理家・スズキエミさんの台所を訪ねて、日々の暮らしについて伺っています。
第2話では、毎日取り組む台所仕事を、楽しく、気持ち良く進めるための、小さな工夫をご紹介します。

一日のはじまりは、ぴかぴかの台所から

歳月を経た味わいが好きで、今回の引っ越しでも古い家を選んだスズキさん。「古いからこそ掃除はちゃんとしておかないと」と、台所の清潔には常に心を配っています。水はねも油はねも、こまめにきゅっと布巾で拭き上げているため、ステンレスはピカピカ。一日の終わりにはガス台まできっちり水拭きし、使った布巾は消毒しておきます。この日課は、「翌朝、自分が気持ちよく台所に立つためにも大事なこと」。すみずみまで拭き上げられた台所には、すーっと爽やかな風が吹くような清潔感が漂います。

使い終わった一日分の布巾は、ボウルに酸素系の漂白剤とともに浸けて消毒。翌朝洗って干します。

フレッシュな、朝こそ勝負!

毎朝5時には起きる朝型のスズキさんの勝負は、早朝の約1時間。「家族がまだ寝ていて、作業に集中できる時間です」。朝食を作るついでに、夕食の下準備も同時に進めていきます。朝の味噌汁の出汁をとるのと一緒に一日分の出汁をとる。具の野菜を切る時に、残りを違う切り方で切っておく。葉物はまとめて全部洗ったり、イモ類は一度にたっぷり蒸しておいたり。すると、一日を走り終えた夜、「出汁でスープができる、切った野菜をナムルにしよう、と夕食の準備がかなりラクになります」。ゆったりしたい夜のために、朝に集中するのが毎日の習慣です。

毎朝、煮干しと昆布の出汁をたっぷりとり、半分はストック。出汁があればスープも煮物も麺類も作れる。

グリーンと音楽は欠かせません

「毎日これなくしては……」と語るのが、植物と音楽。仕事柄、一日中台所にいることが多いスズキさんですが、みずみずしいグリーンや、好きな音楽があると、気持ちが豊かに広がっていくといいます。
「草花が好きで、小さなものでもいつも何か見える場所に飾っています。花屋さんが近くにないので、最近は庭に好きな草花を植えようと計画中。音楽は、季節によって聴きたいものが変わるので、気分に合わせて流しています。ジャズやスカ、ロックも聴きますよ。単調になりがちなので、気分を上げていかないと、ね!」

花器に使っているのは料理用のガラスのボウル。庭の草花など、身近なものでラフに花活けを楽しんでいます。

気分転換にはビネガードリンクを

朝に集中して家事を終え、息子さんを送り出して仕事に取りかかる前のひととき。そんな小休止に楽しむのが自家製のビネガードリンク。米酢に果物と氷砂糖を着けたもので、うっとりするような色と香り、甘酸っぱい風味に、身も心もすっきりリフレッシュできます。
「ブドウやイチジクなど季節の果物で作ると、色も味わいもそれぞれで楽しい。5歳の息子は酸っぱいのは苦手なんですが、ブドウのビネガーを牛乳で割って飲むのは大好き。金曜日の夕方は好きな飲み物片手に、2人でおつかれさま会をやっています」

イチジク+シナモン、りんご+ショウガなど、いろいろな組み合わせで楽しんでいるビネガードリンク。

よどみのない、巡りのいい台所。スズキさんの台所を見ていると、そんな言葉が浮かびます。朝は集中して下準備をし、夜はきれいに掃除をしてすっきりリセット。そんな1日の土台を築きながら、合間に息抜きになる楽しみもうまく取り入れているのが、いい循環を続けていく秘訣なのかもしれません。次回は、そんなスズキさんの愛用の道具について伺います。

ブドウのビネガードリンク。漬けたブドウはチーズに合わせるなど、料理に使っても美味。

写真:西希 文:加藤奈津子

<プロフィール>

スズキエミ

スズキエミ

料理家。宮城県石巻生まれ。料理教室「暦ごはんの会」「暦の手しごとの会」主宰。素材の持ち味を生かし、日本の季節を身近に感じられるようなごはん作りを提案している。著書に『四季を味わう にっぽんのパスタ』『野菜の保存食で毎日のごはんがすごく楽になる』(立東舎)など。
https://www.instagram.com/suzukiemi.gohan/

前の記事へ

次の記事へ