あの人に聞きました
ウー・ウェンさん

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食べることで、わたしたちが得られるものはなんでしょう。
「おいしい!」という感動や驚き、そして家族の団らん。そして一番大切なことは「健康」です。
たのしく、おいしく食べることで、体を健やかに保つ。
「食」のきほんとなるお話を、
料理研究家のウー・ウェンさんに伺います。

料理研究家ウー・ウェンさんに聞く「むつかしくない家庭の医食同源」。3回目は、人間の健康と密接に関係する「旬」のお話。「少ない材料でも、きちんと季節のものを使えば体は喜ぶ」と言うウー・ウェンさん。シンプルな料理で体を整えるコツを教えていただきます。

「自然と人間を結ぶ、旬の食べ物」

前回、旬の食材が体を整えてくれるというお話を少ししましたね。今回は中国の旬の捉え方について少しご紹介したいと思います。

中国では「五味五色」という考え方をとても大切にしています。白・黒・緑・黄・赤という五色と、酸味、苦味、甘味、塩味、旨味という味ですね。この五色というのは、人間の五臓の働きを高めると言われていて、それが季節ごとの旬の食材と密接に関係しています。

たとえば春に食べるとよいとされているのは「緑」のもので、これは肝臓の機能を高めるといわれています。夏は「赤」のもので心臓。秋は「白」で肺、冬は「黒」で腎臓。それぞれ、その季節に弱りがちな臓器の働きを助けてくれる食材を指しています。

五色のうち黄色は脾臓(ひぞう)を助ける食材。季節を問わず、一年中食べたほうがいいそう。

自然界ではこうしたサイクルが出来上がっていて、そのとき必要なものが実りを迎えるようになっています。それが「旬」というものです。不思議に思うかもしれませんが、よく考えれば人間も自然の一部なのですから、当然といえば当然です。

秋に食べる黄色の食材はかぼちゃ。油でさっと炒めておくと時間短縮になります。

「旬の食材をひとつ。料理はシンプルでいいの」

「毎日数十種類の野菜を食べましょう」ということを耳にすることがあるかもしれませんが、私は食材の数はそこまで気にする必要はないと思っています。だって、旬の野菜って、一度にそんなにたくさんないですものね。

炒めたかぼちゃに水を少し加え蒸し煮にすることで、かぼちゃの自然な甘みが際立ちます。

「家族で食卓を囲むこと」、「自分の体の声に耳を傾けること」、「旬を楽しむこと」。家庭の医食同源で大切なのはこの3つです。どれもちっともむつかしくないでしょう?

お料理はあれこれ理論から考え始めると、つい複雑になってしまいます。でも、旬というものが変わらない限り、考え方はいつも同じです。そして普通のお薬と違って、料理のレシピはアイデア次第で自由に、無限に広がっていきます。今回お話したきほんを心に留めて、あとは楽しく料理をする。肩の力を抜いて、家庭の医食同源を始めてもらえたらと思います。

良質のタンパク質が摂れるゴマは栄養満点。炒った白ごまをすり、仕上げにふりかけます。

ウー・ウェンさんの体を調える料理③

かぼちゃのごままぶし

免疫力を高めてくれるとされるかぼちゃには、栄養たっぷりのごまを添えて。砂糖を使わない、自然な甘さの蒸し煮です。

[材料]

(作りやすい分量)
かぼちゃ
1/4個(250g)
2/3カップ(140mL)
粗びきこしょう
少々
すりごま
大さじ3(21g)
粗塩
小さじ1/3(1.7g)
大さじ2(24g)

[作り方]

  1. かぼちゃは皮と種を取り除いて、ひと口大に切る。
  2. 炒め鍋に油とかぼちゃを入れて火にかけ、油をからませるように炒める。
  3. 2に分量の水を加えて、煮たったら弱火にしてふたをし、10分蒸し煮にする。仕上げに粗びきこしょう、粗塩で味を調え、すりごまをふる。

料理:ウー・ウェン スタイリング:竹内万貴 撮影:平野太呂 文:小林百合子

<プロフィール>

ウー・ウェン

料理研究家。中国・北京出身。1990年来日。母から受け継いだ家庭料理が評判となり料理研究家の道へ。「料理を通じて日本と中国との架け橋になりたい」という思いから東京と北京でクッキングサロンを主宰する。

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