十二月 カリフラワー

グランエックス12ヶ月
中川たまさん

12月、朝夕がぐっと冷え込み、霜が降りる頃になると、
市場には真っ白い野菜たちが勢ぞろいします。
大根、かぶ、ねぎ、白菜、そしてカリフラワー。
どれもみんなどっしり、堂々としていて、
冬の寒さに耐えて育った力強さをたたえています。
なかでもカリフラワーは特別に好きな野菜。
今回はその滋味深い風味とほくほくした食感を活かして、
和・洋・中、3つのお料理をご紹介します。

冬、私が暮らす神奈川県の海沿いの地域の市場には、
白菜や大根、ねぎ、カリフラワーなど白い野菜が並びます。

冬に旬を迎える“白物野菜”は、体を温め、
免疫力を高めてくれる栄養素が豊富だと言われています。
乾燥や寒さで体調を崩しやすくなる冬には、ちゃんとそれを予防してくれる野菜が旬を迎えるようになっているのですね。

我が家で人気の白物野菜はなんといってもカリフラワー。
野菜があまり得意ではない夫もカリフラワーだけは好きで、
大きく、つぼみがぎゅっと詰まったものを見つけると、
意気揚々と抱えて帰ってきます。

春巻きなど後からさらに火を入れる場合は、少し固めに下茹ですると、ほくっとした食感を出せます。

私も大人になるまでカリフラワーは特に好きではなくて、
淡白な味ともさっとした食感が、う〜ん、という感じ。
でも、大人になってからカリフラワーの炒め物を食べた時、
あれ、なんだかほくほくしておいしいぞと思いました。
そうか、カリフラワーのおいしさの肝は、熱を入れたときに出るなんともいえない「ほくっ」とした食感だったんだ。
淡白だと思っていた味も、じっくりと煮込んでしっかり
火を通すことで、滋味深い出汁が出るのだとわかりました。

カリフラワーの秘めたるおいしさに気づいてからは、
スープにしたり、春巻きにしたり、天ぷらにしたり。
料理の幅がぐんと増えたのでした。

おいしさを引き出すコツがわかれば、
大きな玉をまるごと買っても余らせることはありません。
ぜひこの冬は、旬のカリフラワーを使って、
いろいろな料理に挑戦してみてください。

滋味深い出汁を引き出す
カリフラワーのスープ

カリフラワーって、どんな味?
そう聞かれて、よどみなく答えられる人は
もしかしたら少ないかもしれません。

かくいう私も以前はそのひとりで
カリフラワーって、味あったっけ?
そんな風に思っていました。

でも、今ならこう答えます。
くせのない、やさしい甘みがあって、
魚や肉でとる出汁とは違う、
しつこくなく、でもしみじみと深い旨みがある。

意外にもカリフラワーは、
とってもおいしい出汁が出る野菜だったのです。

クタクタになったカリフラワーは、木べらでつぶして。より出汁が出て、滋味深いスープになります。

その魅力をダイレクトに感じられるのが、スープ。
あえてたんぱく質を入れず、
カリフラワーと香味野菜だけを煮込んで、
野菜のやさしい出汁をじっくりと引き出します。

カリフラワーは主役ですが、具材としてではなく、
あくまでもおいしい出汁を出す役割なので、
木べらでつぶして形がなくなるようにします。

完成したお料理にはカリフラワーの姿はなくて、
食べた人は「おいしい!でも何のスープ?」
と尋ねることがほとんど。
「カリフラワーってこんなにおいしかったんだ!」
驚きと感動を呼ぶひと皿なんです。

寒い朝、パンと一緒に食べてもいいですし、
ごはんにかけて洋風リゾットにすれば、
ひと皿で立派な食事になります。

とびきりおいしいイタリアのチーズ、
パルミジャーノ・レッジャーノを仕上げにかけると
格別なおいしさです。

押し麦を加えて炊いた玄米にかけてリゾット風に。娘はこれにポーチドエッグをのせるのがお気に入り。

カリフラワーのスープはこんなふうに。

[材料]

(2〜3人分)
カリフラワー
小1個(300g)
玉ねぎ
1/4個(50g)
セロリ
1/4本(30g)
白ワイン
1/2カップ(100mL)
3カップ
オリーブオイル
大さじ2(24g)
ローリエ
1枚
セロリの葉
少々
パルミジャーノ
適宜
・レッジャーノ
塩、こしょう
各少々
オリーブオイル
適宜
(仕上げ用)
ごはん(玄米でも)
お好みで

[作り方]

  1. カリフラワーは一口大に、玉ねぎ、セロリはみじん切りにする。
  2. 温めた鍋にオリーブオイルを入れ、1を炒める。玉ねぎが透き通ったら白ワイン、塩ひとつまみを加えて蓋をし、弱火で5分ほど蒸し煮にする。
  3. 分量の水とローリエ、セロリの葉を加えて蓋をし、さらに煮込む。
  4. カリフラワーがクタクタに柔らかくなったら木ベラなどでつぶし、塩、こしょうで味を整える。
  5. 器に盛り、削ったパルミジャーノ・レッジャーノ、胡椒をふり、オリーブオイルを回しかける。

ほくほく食感を楽しめる
和と中華の揚げもの

カリフラワーのもうひとつの魅力は、
火を通すことで生まれる、独特の食感です。

つぼみの部分はふわっ、ほろほろ。
かたや茎の部分はほっくり。
ひと口で2種類の食感を味わえるのも楽しい。

このほくほくした食感を上手に出すには
油で揚げるのが一番です。
中華風なら春巻きに、和風なら天ぷらにといった具合に
自由にアレンジしてみてください。

ぜひカリフラワーの持つ甘みや滋味深い風味を
感じていただきたいので、ほかの具材は多く使わず
思い切ってカリフラワーを主役に。

我が家では春巻きには少しだけ桜エビを入れて
香ばしい香りを添えています。

カリフラワーの甘さを感じたいので、たれではなく塩でいただきます。パリッ、ほっくり、楽しい食感。

天ぷらは衣が重くなるとカリフラワーの食感が
感じづらくなるので、薄力粉だけで軽めに。
冷やした炭酸水で粉をとくと、さくっと仕上がります。

天ぷらは天つゆにつけて食べてもいいですし、
揚げ出しのようにだし汁をかけるのもおすすめ。
お蕎麦のトッピングにするのも我が家の定番です。

こんなふうに、いろいろな料理にアレンジできるのは
くせがなく、淡白な風味をもつカリフラワーだからこそ。

ぜひいろいろな調理法や具材との組み合わせに挑戦して、
自分ならではのカリフラワー料理を見つけてみてください。

天ぷらに和風だしをかけて揚げだし風に。こちらはさくさく、ほくっとした食感。晩酌のおともにも。

料理:中川たま 撮影:野川かさね 文:小林百合子

<プロフィール>

中川たま
(なかがわたま)

料理家。神奈川県・逗子で夫と高校生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て独立。伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事の提案を行う。著書に『暦の手仕事』(日本文芸社)など。

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