きほんのいいもの
おさだゆかりさん

第2話
フィーカを楽しむ道具

手に取るたびに「いいなあ」と思えるものがあったなら、
生活の中に小さな喜びが生まれます。
そんな暮らしまわりにあるとうれしいあれこれについて、
素敵なあの人に伺う連載。
今回は、北欧雑貨店「SPOONFUL」店主のおさだゆかりさんに教えていただきました。

フィーカという言葉を聞いたことがありますか?
フィーカとは、コーヒーやお茶を飲みながらくつろぐ、スウェーデンの文化のこと。
「スウェーデンの人々はフィーカが大好きで、だいたい午前に1回、午後に2回、フィーカで休憩をするんです」というから驚きます。

「家やカフェでするだけでなく、会社でも。それほどフィーカは1日の中で大切な時間。そんな文化が根付いているなんて、なんだかいいですよね」

 濃いめのコーヒーと一緒に、ジンジャークッキーやシナモンロールなど素朴な焼き菓子を食べるのが昔からの定番で、流行りのカフェに行っても、やっぱりそうした伝統菓子が置いてあるのだとか。いわゆるコーヒーブレイクのことですが、それは、忙しさに流されず、立ち止まってひと息つく、大事なひととき。

「私も1日に1回はフィーカをするよう心がけています」というおさださんの愛用の道具を教えていただきました。

コーヒーをおいしくする小さなカップ

「コーヒーは小ぶりなカップに入れて、熱々を飲むのが好きです。だから、ふだんのフィーカも来客時にも、コーヒーを飲むときはこのカップ」

小さな持ち手がついたシンプルなデザインで、色は温かみのあるやわらかなホワイト。重ねて収納できるところも使いやすく、4客を揃えています。フィンランドを代表するデザイナー、カイ・フランクが陶器メーカー「アラビア」で生み出した「ティーマ」シリーズの古いもので、美しいフォルムは、飽きることのない毎日の定番です。

フィンランドを代表するデザイナー、カイ・フランクが陶器メーカー「アラビア」で生み出した「ティーマ」シリーズの古いカップ

少しずつ集めたヴィンテージのポット

古いものを大切に使い続ける文化がある北欧では、セカンドハンド店やフリーマーケットが各地にあり、半世紀以上前の名品に出会えることも。ただしお目当のものを見つるのは容易ではなく、探し当てた時はそれはもううれしいといいます。

この「ロイヤルコペンハーゲン」のポットとクリーマーもそうやって少しづつ集めたもの。無駄を削ぎ落とした潔いデザイン、蓋がフラットで重ねられるところに惹かれました。台所の棚の中の特等席ともいえる、すぐに手が届く場所に置いています。

「ロイヤルコペンハーゲン」のポットとクリーマー

北欧の美しい自然から生まれるトレー

食卓の上に、素朴でおおらかな北欧の空気を運んできてくれるのが、木のトレー。豊かな自然から作られるこうした手工芸品は、味わい深く個性的で、北欧にはまるきっかけにもなりました。

「これはスウェーデンの職人さんが作っている白樺のトレー。伝統的な形で、金属をいっさい使わずに仕上げています。スウェーデンでは、こんなふうに丁寧に作られたハンドクラフトにたくさん出会うことができます」

手触りはなめらかで気持ちよく、少しずつ深まっていく色合いも魅力です。

スウェーデンの職人さんが作っている白樺のトレー

気持ちが弾むカラフルな紙ナプキン

明るい色使い、かわいい柄。今日のフィーカはどれを使おうかと、選ぶのも楽しいのが紙ナプキン。

「フィーカには小さなサイズがちょうどいいのですが、日本にはあまりないので向こうで買ってきています。荷物を運ぶときの緩衝材にもなってくれますから(笑)」

どちらもフィンランドで、左の2つは「マリメッコ」、右端の「イヴァナヘルシンキ」はスーパーで見つけたもの。

「なにげない日用品もデザインが美しくて。北欧はスーパーに行くだけでもすごく楽しいんです」

フィーカには欠かせない紙ナプキン

スウェーデンに行くと、街のあちこちでフィーカを楽しむ人を見かけたり、時間を見つけては「フィーカにしましょうか」というやりとりが交わされるのが、とても好きだというおさださん。

仕事や家事からいったん離れて小休止し、家族や仲間とおしゃべりしたり、景色を眺めてリフレッシュしたり。オンとオフの切り替えがちゃんとあって、余白の時間を大事にする、スウェーデンの人々の暮らしが垣間見えるようです。

「1日3度はなかなか難しいけれど、近づきたいですね」


おさだゆかりさんのフィーカの時間

お気に入りの器と、あったかい飲み物、甘いおやつではじまる、フィーカの時間。
生活を豊かにするのは、そんな余白のひとときなのかもしれません。

写真:西希 文:加藤奈津子

<プロフィール>

おさだゆかり

おさだゆかり

自身で買い付けた北欧雑貨を扱うショップ『SPOONFUL』オーナー。現在はオンラインショップと予約制の実店舗を運営しつつ、全国各地でイベントなども行っている。著書に『北欧雑貨手帖』(アノニマ・スタジオ)など。2018年春にスウェーデンのガイドブックを出版予定。
http://www.spoon-ful.jp/

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