わたしの台所
小堀紀代美さん

第2話
料理を楽しくする道具とインテリア

料理好きなあの人の、ふだんの台所を見せていただく連載。
料理家・小堀紀代美さんの台所には、気になるものがたくさん!
第2話では、小堀さんが愛してやまない、台所の道具とインテリアについて伺いました。

台所だって空間作りを楽しみたい。小堀さんの台所。

台所だって空間作りを楽しみたい

優しいイエローのタイルに包まれた、築40年を超える小堀さんの台所。
見渡せば、スパイス棚では小さな羊の置物が顔を出し、ガス台には水色のミニカーがちょこんと鎮座。
眺めて楽しいものが、実用的な道具の横に飾られ、愛嬌を醸し出しています。

「機能的なだけじゃなくて、気持ち的にも楽しくなる、そんな場所として台所を捉えていて。リビングや他の部屋と同じように、台所も空間作りを楽しんでいます」

ガス台のふちにはドイツで見つけてきたミニカーを。きれいな水色に気持ちが明るくなる

壁を使ってインテリアを楽しむ

壁紙を貼ったり、棚を取り付けたり。目を引くのが壁の使い方。海外のいろいろなホテルや家を見てきた小堀さんの自由な壁使いが、空間に生き生きとした表情を与えています。

食器棚にしているのは、ハンス・J・ウェグナーのチェスト。上には、イケアで買ったアイアンの棚受けに板をのせた壁面収納を、DIYで作りました。器や鍋、お菓子の道具の隣には、アンティークのおもちゃがさりげなく飾られています。

ダイニングの一角を台所の延長として使い、作業台や食器棚を配置。マスタードイエローの壁紙はイギリスの『サンダーソン』製

色を決めるとまとまりが生まれる

気ままにものが並んでいるように見えて、実は空間作りには小さなルールが。それが出しておくものの色を絞るということ。

「引越しをするたびに、インテリアのテーマカラーを考えるのが好き」だという小堀さん。毎回、ベースとなる色を決め、少しずつ雰囲気を変えて部屋作りを楽しんでいます。

今回は、台所を含め部屋全体のベースカラーを、イエロー、グレー、グリーンの3色に。差し色は、赤と水色に絞り、ところどころにアイアンなどの黒をきかせています。

使う色を決めておくと、色同士があちこちでリンクし合い、統一感が生まれる。台所もリビングもすてきなまとまりが感じられるのは、そんなところに秘密があるようです。

紅茶缶やマグカップが並ぶお茶コーナー。テーマカラーに沿った色合わせが魅力的

集めずにはいられない台所道具

台所仕事の気分を上げてくれるのが、お気に入りの道具。小堀さんが道具で一番好きだと話すのが、木べらです。「木べらって、かわいらしさを発していると思いませんか?」と、見せてくれたのは、使い込まれた大小さまざまな形の木べら。

「炒めるのに使うだけでなく、混ぜたり、からめたりも大得意。あたりが優しいので、鍋やボウルも傷つきません。たとえば手前の大きなバターナイフのような木べらは、鍋底の丸みにもぴったり合う形。ソースなんかが一度に全部とれるので、とても気持ちがいいんです」

持っていない形を見かけると、木べら好きの血が騒ぎ、つい集めてしまう。もちろん全部使っています

小さくて深い、が大活躍の理由

季節の果物に目がない小堀さん。イチゴを2パック、リンゴを2個と、旬の果物で食べきりサイズのジャムを作るのに、ちょうどよいのがこの銅鍋です。

「小さくて深い鍋は、日常的にとても使い勝手がいいと思うんです。水分が蒸発しすぎず、蒸し煮のような調理ができるので、素材の味を引き出すことができる。熱伝導がよい銅製なので、煮たり、ゆでたり、湯沸かしにと便利に使えます」

1ℓ入る大きさは、卵やブロッコリーをゆでるのにも十分。料理教室でも、毎日の料理でも、出番の多い働き者です。

小堀さんが料理番組の企画で開発にした鍋。
こんな鍋があったらと、小堀さんが手がけたもの。握りやすい柄など、形のひとつひとつに理由があります

ミニサイズの鍋を塩入れに

ガス台のふちに置かれた手のひらサイズの銅鍋。ディスプレイされた雑貨かと思いきや、実は塩入れ。

「友人がくれた小鍋は、塩を入れておくのにぴったりでした。陶器だと、手がすべって割れてしまうこともありましたが、これは丈夫。中はコーティングされているので、緑青(ろくしょう、サビのこと)が出る心配もありません」

調理中にパッとふたを取り、塩をひとつまみ。一連の動作もスムーズにできる名脇役です。

普段使いの塩は、イタリアのモティアという天然海塩を愛用。素材を引き立てるので、和食にも洋食にも使っています

「台所は自分の居場所なので、無機質にするより、ミニカーがあったり絵があったり、いろどりがあった方が心地いいんです」

そこここに飾られた小さなものの一つひとつを、楽しげに解説してくれた小堀さん。

合理性や機能性を追求した台所とはまた違う、愉快なざわめきが、ここにしかない居心地のよさを作っていました。

ドイツ・ベルリンの雑貨店で買った計量カップ。手書きの目盛りがかわいい

写真:西希 文:加藤奈津子

<プロフィール>

小堀紀代美

小堀紀代美(こぼりきよみ)

カフェのような食堂『LIKE LIKE KITCHEN』のオーナーシェフを経て、料理家に。同名の、料理とお菓子の教室を主宰する。著書に『フルーツのサラダ&スイーツ 』(NHK出版)、『スプーンで作るおやつ』(主婦の友社)など。

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