五月 レタス

グランエックス12ヶ月
中川たまさん

暖かい日が続き、日差しはすっかり初夏のよう。
市場に並ぶ野菜もだんだん夏めいてきて、
そんな風景を目にすると、季節に対する実感が湧いてきます。
中でも毎年心待ちにしているのがレタス。
近頃では一年中手に入るようになりましたが、
やっぱり旬のものはみずみずしさが全然違います。
ひと玉買ってもあっという間に食べきってしまう、
初夏らしいレタス料理をご紹介します。

ちぎってサラダにする場合は5分ほど水に浸けて水分を吸わせて
ちぎってサラダにする場合は5分ほど水に浸けて水分を吸わせて。キッチンペーパーなどで水気をとると、しゃっきりします。

旬のみずみずしいレタスは
なにはともあれサラダで。

みなさん、サラダは好きですか?
じつは私は無類のサラダ好きで、どんな食事であれ、
必ず何か生野菜がないと物足りないというほど。

この時期、市場で大きなレタスを見つけると心が踊ります。
大玉で、見るからに葉がパリっとしていて、みずみずしい。
ああ、早くサラダにして食べたい!
そんな気持ちで、ずっしり重い玉を抱えて帰ります。

新鮮なレタスを見分けるコツは株の切り口が白く、みずみずしいこと。株を切ったとき水がじわっと出てきたら、新鮮な証です。

旬のレタスはどんなサラダにしてもおいしいですが、
我が家の定番は葉を剥がしてちぎるのではなく、
半玉分のレタスをそのままくし切りにして、
そこに自家製ドレッシングをかけるという豪快なもの。

旬のものはギュッと葉が詰まっているので、
断面は形の色もミルフィーユのように美しい。
外側の葉は柔らかく、清々しい風味。
内側にいくにつれ歯ごたえが出て、味は甘く濃くなります。
ひとつのレタスでいくつも食感と味を楽しめるのです。

ドレッシングは新玉ねぎ1/2個をすりおろし、
そこに酢、オイル、醤油、砂糖、塩を加えたシンプルなもの。
新玉ねぎ自体に甘みがあるので砂糖は少しで大丈夫。
自然な甘さがレタスの繊細な味を引き立ててくれます。

今回は旬のしらすも加えて、より初夏らしい風味に。
見た目にも爽やかで、食感も味も清々しい。
今の季節にぴったりなサラダです。

ドレッシングをたっぷりかけたレタスサラダ
ドレッシングをたっぷりかけて。葉を剥がしつつ食べてもよし、ナイフで切って食べてもよし。楽しいサラダです。

シャキシャキシャキシャキ。
食感楽しむ麻婆レタス

さて、残りの半玉はどうしましょう。
こと旬のレタスは水分が多い分、足が早いので
サラダにするなら買ってすぐに。
残った分は翌日、火を通した温菜にします。

生のときはパリッとした食感が気持ちいいですが、
火を通したレタスもまた、柔らかさの中に
シャキシャキとした食感が残って面白いものです。

レタスは炒めすぎない
肉味噌にしっかり味をつけたところでたっぷりレタスを。シャキシャキ食感を残したいので、炒めすぎないようご注意を。

だんだんと暑くなってくるこの時期によく作るのは
麻婆豆腐の豆腐をレタスに置き換えた麻婆レタス。
ちんげん菜やほうれん草などに比べて青味の少ないレタスは
炒めものに使っても他の食材とよくなじみます。

これはお好みですが、我が家では豆板醤で少し辛めに
仕上げた肉味噌あんをたっぷり絡ませるのが定番。
そのままだと「から〜い!」となるのですが、
レタスと一緒に食べるとちょうどいい。

豆腐の場合はとろっとした食感が心地いいですが、
レタスを使うとシャキシャキ、シャリシャリした
食感が生まれて、どこか爽快な感じがするんです。

刺激的な辛さのあとに訪れる、爽やかな味と食感。
まるで今時期に吹く風のようで、あとひと口、
もうひと口と、いつも食べすぎてしまいます。

花椒を加えるとぐっと大人っぽい風味になるので、
ビールのお供にもぴったり。
新鮮なレタスが手に入ったら、ぜひ試してみてください。
火を通したレタスのおいしさに目覚めると思いますよ。

麻婆レタス
仕上げに長ねぎと刻んだ花椒を散らして、食感と風味にアクセントを。 お好みでラー油をふってもおいしいです。

麻婆レタスはこんなふうに

[材料]

麻婆レタス(2〜3人分)
レタス
1/2個
豚挽き肉
150g
(A)
生姜のみじん切り
1かけ分
豆板醤
小さじ1
胡麻油
大さじ1
(B)
甜麺醤、醤油、水、紹興酒または料理酒
各大さじ1
長ネギ(みじん切り)
少々
花椒(刻んだもの)
適量
麻婆レタスの完成

[作り方]

  1. レタスは食べやすい大きさにちぎり、冷水に5分ほどつけてしゃっきりさせる。その後水気をしっかり拭き取っておく。
  2. フライパンに(A)の材料を入れて弱火にかける。香りが出たら火を強め、豚挽き肉を加えて炒める。挽き肉に火が通ったら混ぜ合わせた(B)を加えてひと煮たちさせる。
  3. レタスを加えて混ぜ合わせ、しんなりしたら皿に盛る。
  4. 仕上げに長ネギと花椒をちらす。

料理/中川たま 撮影/野川かさね 文/小林百合子

<プロフィール>

中川たま

中川たま
(なかがわたま)

料理家。神奈川県・逗子で夫と高校生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て独立。伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事の提案を行う。最新刊は2018年2月刊行の『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』(日本文化社)。ほか著書多数。

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