十月 ぶどう

グランエックス12ヶ月
中川たまさん

吹く風がめっきり秋らしくなってきた今日この頃。
街の風景も選ぶ服もだんだんとシックになって、
食卓にも秋の味覚が登場するようになってきました。

この季節に楽しみな果物といえば、ぶどうです。
最近は身近なお店でも色々な種類が手に入るようになって、
ぶどう好きの私はいつも目移りしてしまいます。

でも、子供の頃から変わらず一番好きなのは
粒が大きくて、果肉がジューシーな巨峰。
旬を迎えたものは一粒一粒に張りがあって、
はちきれんばかりのみずみずしさです。

今回は巨峰で作るマリネを使って、
お肉料理とデザートを作ってみました。

巨峰のマリネ
巨峰は皮をむいてマリネしますが、残った薄皮から色素が出て、綺麗なルビー色のマリネ液になります。

巨峰の甘さをまるごと。
砂糖控えめの豆乳プリン

秋、おいしそうな巨峰が手に入ると、
真っ先に作るのが果汁を生かしたマリネです。

ビネガーを使ったマリネは酸っぱいイメージが
あるかもしれませんが、ワインビネガーの元はぶどう。
同じぶどうの巨峰とはとても相性がいいんです。

旬の巨峰は酸味より甘みが強いのですが、
ビネガーの酸味が加わることで味が引き締まり、
料理に使っても巨峰らしい風味がぼやけなくなります。

このマリネ、サラダに加えてもおいしいですし、
今回のようにデザートのトッピングにしたり
お肉料理のソースに仕立てたり、とにかく万能。

マリネすると浸透圧で果汁が出てくるのですが、
果汁で作るマリネ液は優しい甘みと酸味が
素晴らしいバランスで、癖になるおいしさです。

マリネには白ワインビネガー、はちみつ、ローズマリーを。ハーブを加えることで、より爽やかな風味になります。

2人分の豆乳プリンを作るには
豆乳1/2カップと砂糖大さじ2、水で戻した
板ゼラチン2枚分を鍋に入れて火にかけます。
砂糖とゼラチンが完全に溶けたら火から下ろし、
豆乳1/2カップを加えてよく混ぜます。

粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし固め、
食べる直前に巨峰のマリネをトッピング。
マリネ液もたっぷりとかけていただきます。

豆乳プリンは砂糖控えめですが、
だからこそ巨峰の甘さがしっかりと感じられて、
男性にも喜ばれるデザートになるんです。

巨峰マリネの豆乳プリン
豆乳の白と巨峰のルビー色のコントラストが美しくて、おもてなしのデザートにぴったりです。

巨峰の果汁をそのままソースに。
シックな秋色のポークソテー。

お肉と巨峰という組み合わせに驚かれる方も
いるかもしれませんが、お肉料理に赤ワインのソースを
合わせること、よくありますよね。

そう、ぶどうとお肉の相性はとってもいいんです。
中でもオススメはポークソテーで、
巨峰の酸味が豚肉の旨味や甘味を引き立ててくれます。

豚肉の味付けは塩胡椒だけ。表面にコゲが付くくらい、両面をしっかりと焼きましょう。

ソースといっても今回は巨峰のマリネに火は入れず、
あえて果肉をそのままトッピングします。
焼きたてのポークソテーに冷たいマリネを乗せると
じんわり肉の熱が伝わり、果肉が程よい柔らかさに。

巨峰の果肉とお肉を一緒に食べると、果汁がじゅわ〜。
口の中で甘酸っぱい果汁と肉汁が混ざり合います。
熱を入れていない分、巨峰のみずみずしさが保たれていて、
なんともいえないフレッシュな風味。

天然の甘酸っぱさというのは、どんな調味料にも出せない
優しくて、まあるい風味があるのだなあと思います。
お肉を食べた後に残ったソースも惜しくて、
パンでお皿を拭うようにして残らず食べてしまいます。

ちなみに巨峰のマリネをサラダに使うなら、
さっと茹でた薄切りレンコンと合わせるのが定番。
少しのお塩とオリーブオイル、ビネガーで和えると
秋らしい、上品な前菜に。
レンコンのシャキシャキと巨峰のぷるんとした食感が
楽しくて、我が家でよく登場するメニューです。

巨峰のマリネと揚げなすを添えて
今回は揚げ茄子も一緒に。存在感のある巨峰のマリネで、いつものお料理をパッと華やかにしてくれます。

巨峰のマリネはこんなふうに

[材料]

巨峰のマリネ(作りやすい分量)
巨峰(種なし)
1房
白ワインビネガー
大さじ1~2
蜂蜜
大さじ1/2
ローズマリー
1本分
巨峰のマリネはこんなふうに

[作り方]

  1. 巨峰は皮をむく。ローズマリーは適度に折っておく。
  2. 容器にすべての材料を入れよく混ぜあわせ、30分以上置く。(長く置く場合は、冷蔵庫で保存する)

この巨峰のマリネを使ってポークソテーを作ります。

巨峰マリネソースで作るポークソテー

〈材料〉2人分
巨峰のマリネ:適量
豚ロース肉:2枚
茄子:1本
揚げ油:適量
塩、胡椒:各少々

〈作り方〉
1.豚肉に塩胡椒をふり、グリルパンで両面を火が通るまで焼く。
2.茄子はヘタをとり輪切りにする。中温にあたためた油に茄子を入れ2分ほど火が通るまで揚げ、油をきる。
3.ボウルに2の揚げた茄子、巨峰のマリネ、塩、胡椒を加えよく和える。
4.器に豚肉のソテー、3を盛りつける。

料理/中川たま 撮影/野川かさね 文/小林百合子

<プロフィール>

中川たま

中川たま
(なかがわたま)

料理家。神奈川県・逗子で夫と高校生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て独立。伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事の提案を行う。最新刊は2018年2月刊行の『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』(日本文化社)。ほか著書多数。

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