一月 みかん

グランエックス12ヶ月
中川たまさん

一月、寒さが厳しい日々が続きますね。
こたつに入って、ぬくぬく過ごすのが心地いい季節です。

日本の冬に欠かせないフルーツといえば
やっぱりみかん、ですよね。
みかんというと一般には温州みかんをさしますが
「早生みかん」や「愛媛みかん」、「有田みかん」など
種類はさまざま。
たくさん買ってダイニングに出しておいても
あっという間になくなっている、なんてこともしばしばです。

日々の暮らしに馴染み深い果物のみかんですが、
みなさん、お料理に使ったことはありますか?

感覚としてはオレンジを使うのと似た要領ですが、
旬を迎えた果汁たっぷりのみかんは甘くて、
酸味はオレンジよりずっとマイルド。
お料理に加えると、柑橘の爽やかな風味を生かしつつ、
やさしい甘みをプラスしてくれるんです。

今回ご紹介するのは、みかんを使った温かいお料理と
こたつに入りながら食べたい冷たいデザート。
特別な材料は何もいりません。
みかんがたくさんあるなあ、と思ったとき
さっと作れる手軽なメニューです。ぜひお試しください。

おいしいみかんの見分け方
おいしいみかんの見分け方は、赤みがかった色で、 まん丸よりも少し平べったい形をしたもの。味は見た目の美しさとは比例しないのです。

果汁の酸味と甘さが絶妙。
ぶりとみかんのネギソース

うんと甘くて、ほんのりした酸味がおいしいみかん。
ほかの柑橘と違って種がなく、
薄皮の袋も取り除かずそのまま食べられるので、
とてもお料理に使いやすいんです。

旬を迎えたみかんの一番のおいしさは、
何といってもそのあふれんばかりの果汁。
今回はそんな果汁を生かした、お魚料理をご紹介します。

お魚は同じく冬が旬のぶり。
今の時期は脂がたっぷり乗って、とてもおいしいですね。
ぶり大根や照り焼きなどが定番の料理ですが、
脂が少し重たいなあと思ったときがみかんの出番。

我が家では、「ぶりとみかんのネギソース」が定番で、
カラリと揚げたぶりに甘辛い油淋鶏風のたれを絡め、
仕上げに輪切りにしたフレッシュみかんを加えます。

ぶりは片栗粉をまぶしてカラリと揚げましょう。揚げ油は太白ごま油や米油など、香りが強くないものがおすすめです。

みかんに直接熱を加えず、余熱で温める程度なので、
食べると口いっぱいにみかんの果汁が広がります。
爽やかな風味とやさしい酸味がぶりの脂を中和して、
さっぱり、いくらでも食べられるおいしさです。

油淋鶏風と聞くと、お砂糖たっぷりで
こってりしたイメージかもしれませんが、
みかんの甘さがあるので、たれには砂糖は使いません。
糖度の高い旬のみかんだからこそできるお料理です。

輪切りにしたみかんは、愛らしい花のような形で、
見た目にも華やかさがあるのも嬉しい点。
おもてなしの席でお出ししても喜ばれます。

ぶりとみかんのネギソース
輪切りにしたみかんの愛らしさといったら! みかんには火を入れないので、綺麗なオレンジ色を保てます。

コロンと丸い姿が愛らしい。
みかんのまるごとコンポート

「こたつでみかん」は、気持ちのいい冬の過ごし方ですが、
「こたつでアイス」も、少しの罪悪感を覚えつつ、
どうしてもやめられない冬ならではのうれしい時間です。

じつは我が家では、そんな冬の2大至福を一度に味わえる
みかんのデザートがあるんです。
それは、みかんをまるごと一個使ったコンポート。

甘いシロップに漬けたみかんをよく冷やして
つるんと食べると、火照った体に心地いい。
寒い時期にはシロップにしょうがを入れて
おいしく食べつつ、風邪の予防にも役立てています。

作り方はとても簡単で、
白ワイン1/2カップ、砂糖70g、水1カップを入れた鍋に
筋を取ったみかん4個とレモン果汁を少々、
お好みでしょうがのスライスを入れて火にかけるだけ。
沸騰したら極弱火にして5分煮れば、でき上がりです。

みかんのまるごとコンポートの作り方
白い筋はできるだけ丁寧に取り除きましょう。少し骨ですが、 仕上がりがうんと美しくなります。

冷たくして、こたつ用のデザートにするもよし、
体が冷えているときや、体調がすぐれないときには
作りたての温かい状態で食べても、おいしい。
お好みでローズマリーなどのハーブを一緒に煮るのも
爽やかな風味が加わっておすすめです。

シロップが余ったら、白玉やきくらげを入れて
甘いスープのようにして飲むのも温まります。
こたつ派の方はシロップだけを凍らせて
グラニテ(洋風かき氷)にするのもいいですね。

コンポートはシロップに甘みがあるので、
たくさん買ったみかんの中にたまに交じっている
酸っぱいものや、味がぼやけているものでも
おいしく作れるのがうれしいところ。

子供の頃に食べた甘いみかんの缶詰を思い出す、
懐かしくて、どこかほっとするデザートです。

ほんのりしょうがの効いたシロップ
小さくて、まん丸の姿が愛らしい。ほんのりしょうがの効いたシロップは、 温めて飲むと体がポカポカとしてきます。

ぶりとみかんのネギソースはこんなふうに

[材料]

(2〜3人分)
ぶり
2切れ
みかん
小2個
片栗粉
適量
太白ごま油
大さじ2
煎りごま
少々
(A)
酒、醤油
各大さじ1
(B)
ネギ(みじん切り・白い部分)
10㎝分
しょうが(みじん切り)
小さじ1
醤油、砂糖
各大さじ2
米酢
大さじ1
ぶりとみかんのネギソース

[作り方]

  1. ぶりは3等分にし、(A)を加えて5分ほどおき、下味をつけておく。みかんは皮をむいて白い筋をとり、1㎝幅に切る。
  2. 水気を切ったぶりに片栗粉をまぶす。フライパンにごま油を熱してぶりを入れ、火が通るまで揚げ焼きにする。
  3. 2のぶりをいったん取り出して油を拭き取り、(B)を入れひと煮たちさせる。再度ぶりを入れてたれを絡め、火を止めてからみかんを加えてさっと絡める。
  4. 皿に盛り、煎りごまを散らす。

料理/中川たま 撮影/野川かさね 文/小林百合子

<プロフィール>

中川たま

中川たま
(なかがわたま)

料理家。神奈川県・逗子で夫と高校生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て独立。伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事の提案を行う。最新刊は2018年10月刊行の『デイリーストック 朝、昼、晩 日々の料理の味方』(グラフィック社)。ほか著書多数。

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