二月 キウイ

グランエックス12ヶ月
中川たまさん

一年で一番寒さが厳しくなると言われる2月。
暦の上では春ですが、気持ちはまだ冬ですよね。

日本の冬の果物といえば柑橘というイメージがありますが、
我が家ではここ数年、キウイもこの季節の果物として
食卓に登場する機会が増えてきました。

私が子供の頃は、キウイはオーストラリアなど、
遠い外国から海を渡ってやってくるフルーツでした。
でも最近は国内でも栽培されるようになったようで、
私が暮らす街でも、地域産かつ有機栽培のキウイを
ちらほら見かけるようになってきました。

甘酸っぱくて、果汁たっぷり。ジューシーなキウイは、
冬の乾燥した気候の中で食べるとよりおいしい。
そのまま食べたり、ヨーグルトに混ぜたりするのが定番でしたが、
買う機会が多くなるにつれ、お料理にも使うように。
意外にもお肉料理との相性がとてもいいんです。

今回はキウイの持つ爽やかな酸味と、ある特徴を生かして
お肉料理とデザートを作ってみました。
どちらも簡単なので、ぜひお試しください。

キウイの食べごろは軽く握ったときに少し柔らかさを感じるくらい。綺麗な楕円形で、皮が薄茶色のものを選ぶといいですよ。

キウイの酵素パワーで作る
柔らか食感のタリアータ

近所の市場で見つけた、地域産の有機栽培キウイ。
まさか自分が暮らす街の近くでキウイが育つなんてと
驚いて、思わずたくさん買い込んでしまいました。

食べきれないまま、だんだん熟して柔らかくなってくると、
「早く食べなきゃ」と気が急いてくるもの。
そのまま食べる以外においしくいただける方法はないかしら。
キウイについて調べてみると、面白い発見をしました。

キウイにはタンパク質を分解する酵素がとても豊富だそうで、
果汁や果肉にお肉を浸け込むと、とても柔くなるとか。
早速、お値打ち価格のステーキ肉で試してみたら、
なんとまあ、高級なお肉のようなジューシーな食感に。
これはすごいということで、それ以来、
キウイを使ったお肉料理に目覚めたわけです。

赤身肉の両面にキウイソースを塗り込んで、常温で1時間ほど置きます。あとはソースをぬぐって表面を焼くだけです。

お肉の中でもよく合うのが牛肉です。ミディアムレアに焼いたものを
薄く切って、ローストビーフのような感覚で食べると、
お肉の柔らかさと旨味をしっかりと感じられます。

お肉を漬け込むキウイソースは、すりおろしたキウイに
蜂蜜を加えるだけですから、とても簡単。
1時間ほど漬け込んでから表面を焼き、薄く切ったお肉と
生野菜やハーブ類、スライスしたキウイと一緒に
サラダ風に盛りつけます。

キウイの爽やかな酸味がビネガー代わりになりますから
ドレッシングはオリーブオイルと塩だけ。
フレッシュな風味がお肉の脂をさっぱりとしてくれて、
いくらでも食べられるおいしさです。

普段は「焼くと硬くなるかな」と思って敬遠しがちな赤身肉も
キウイソースを使えば柔らかく仕上がります。
ぜひキウイのパワーを実感してみてくださいね。

お好みの野菜とスライスしたキウイを一緒に盛ってサラダ風に。中がピンク色くらいの焼き加減に仕上げるのがポイント。

酸味と甘みを楽しむ
濃厚パンナコッタ

お肉を漬け込むために作ったキウイソース。
少し余ってしまったら、デザートに変身させましょう。

すりおろしたキウイに蜂蜜を加えたソースは
そのままヨーグルトにかけて食べてもおいしいですが、
ひと手間加えるだけで、おもてなし用のデザートにもなります。

我が家の定番は、生クリームをたっぷり使ったパンナコッタ。
普段は甘さ控えめで作ることが多いのですが、
酸味が強いキウイソースに合わせるなら
濃厚で甘みが強い方が好相性なのです。

作り方はシンプルで、プリンカップ3つ分を作るなら
まず牛乳1/2カップと柔らかくした板ゼラチン、
砂糖を鍋に入れて火にかけます。
砂糖とゼラチンが溶けたら火を止めて、
生クリーム1カップを加えてよく混ぜます。

それを冷蔵庫で冷やし固めて、器に盛ってから
キウイフルーツをたっぷりかけていただきます。
パンナコッタがうまくカップから出てこないときは
さっと湯煎にかけると、つるんと出てきます。

小鍋ひとつで作れるパンナコッタは、急なお客様が来るときにも活躍するデザート。きび砂糖を使うと優しい甘さになります。

生クリームを多めにして作ったパンナコッタは
モチモチとした食感で、口どけなめらか。
それだけで食べると少し甘みが強いのですが、
キウイソースと一緒になると、酸味と甘みが程よくて
お肉料理の後にさっぱりといただくのにぴったりです。

何より心踊るのは、白と緑の鮮やかなコントラスト。
器にカクテルグラスを使ってもいいですし、
真っ白なスープ皿に盛りつけても綺麗です。

一度作れば、お肉料理とデザートの2品に活用できる
とても便利なキウイのソース。
冬の新しい定番フルーツとして、ぜひ使ってみてください。

白と緑のコントラスがとても綺麗。キウイソースの酸味がパンナコッタの甘みをいっそう際立たせてくれます。

キウイと牛肉のタリアータのサラダ風はこんなふうに

[材料]

(作りやすい分量)
■キウイソース
キウイ
3個
蜂蜜
大さじ1
■キウイと牛肉のタリアータのサラダ風(2、3人前)
赤身のステーキ肉
小さめ2枚
キウイ
1個
ルッコラやレタス
適量
ディル
少々
キウイソース
大さじ2
オリーブオイル
少々
塩、胡椒各
少々

[作り方]

  1. キウイソースを作る。キウイの皮をむき、おろし器ですりおろす。
  2. 1をボウルに入れ、蜂蜜を加えてよく混ぜ合わせる。
  3. 肉に塩、胡椒を強めにふり、分量のキウイソースを全面にぬり、1時間ほどおく。
  4. キウイソースを手でぬぐい、牛肉を温めたグリルパンで両面、ミディアムレアくらいに焼く。
  5. 4の肉を薄くスライスして器に盛り、ルッコラやレタス、皮を剥いて薄くスライスしたキウイ、ちぎったディルを飾る。
  6. 仕上げにオリーブオイルを回しかけ、塩、胡椒をふる。

料理:中川たま 撮影:野川かさね 文:小林百合子

<プロフィール>

中川たま

中川たま
(なかがわたま)

料理家。神奈川県・逗子で夫と高校生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て独立。伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事の提案を行う。最新刊は2018年10月刊行の『デイリーストック 朝、昼、晩 日々の料理の味方』(グラフィック社)。ほか著書多数。

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