ふたりでうなずいた
ブラックコーヒー


文・写真・動画:松浦弥太郎
あの日あの時を思い出す、
コーヒーの味。
おいしいコーヒーが飲みたいね。年老いた母がこう言いました。「うん、飲みたいね」と息子である僕は答えた。これまで何度もこんな会話が繰り返されました。その都度こうも思います。「おいしいコーヒーってどんなコーヒーなのだろう?」と。
あったかくて、ほのかに甘いコーヒー独特の香り。口に含むと広がる豊潤な苦味。のどをすっと通って、その後に感じるすっきり感。一口で飲んで、しばらく味わう、その後味と余韻。自然と溢れる、安堵というか力が抜けていく心地よさと、人を愛したくなるようなやさしい気持ち。
「おいしいね」「うん、おいしいね」と、言葉を交わす母と僕。


一人で飲むコーヒーもおいしいけれど、コーヒーは二人で飲むのがいちばんおいしいと思う。
そして、おいしいコーヒーを淹れるには、頭を働かせるのではなく、たっぷりと心を働かせたいと思うのは、僕だけだろうか。今日はどんな豆を使おうか。豆をどう挽こうか。コーヒーカップはどれにしようか。どんな味にしようか。それらはなかなか言葉にすることができない、ちょっとした気遣いや親切、慈しむような心持ちとでも言おうか。
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