〜松浦弥太郎が見て、体験する〜
手仕事から生まれる
最高の土鍋 #1

〜松浦弥太郎が見て、体験する〜

手仕事から生まれる最高の土鍋 #1

ふっくらもっちりした食感に、香ばしいおこげ。
噛みしめるほどに広がる香りと甘み。
そんなかまどで炊いたようなご飯を実現するべく、
タイガーのグランエックスシリーズの炊飯器は、
日々、進化してきました。
内釜の土鍋に新素材を導入することで、
よりかまどに近い火力、
熱伝導の良い状態を生み出しています。
どのように「プレミアム本土鍋」が
作られているのかを知るために、
「グランエックスクラブ」
クリエイティブディレクターの松浦弥太郎さんが
三重県四日市市の工場を訪れました。

三重県四日市市は「萬古焼ばんこやき」の産地として有名な土地です。耐熱性、耐久性に優れる性質をもつ萬古焼は、土鍋や急須などとして親しまれてきました。長年、この土地で培ってきた技術やデータを元にしながら、新たに「プレミアム本土鍋」を作っているといいます。
「プレミアム本土鍋」は、2017年から発売された炊飯器に使われるようになった内釜。熱伝導性を高める「炭化ケイ素」という成分を新たに配合することで、蓄えた熱をより素早くお米に伝えることができるようになりました。
その生産現場を見せていただくため「ミヤオカンパニーリミテド」の工場へ。製造部長の宮嶋和彦さん、セラミック営業次長の飯田正久さん、セラミック営業課長の鈴木公規さんに案内していただきます。

※撮影のため帽子を脱いでいます。

さっそく工場内へ入ろうとしたところ、外で山積みなっている素焼きの状態の土鍋を見つけました。
「これは欠けや傷があるものだったり、サイズに不備があったり、焼きムラがあったりと、さまざまな問題があってはじいたものなんです」と宮嶋さん。
パッと見た感じではどこにも傷などはなさそうなものもありますが、松浦さんが一つ手に取ってみるとほんの小さな欠けを発見。
「手作りに近い土鍋を、美しく均一に仕上げるにはほんとうに難しいのでしょうね」とこれから見る工程に、
さらに興味がわいてきます。

問題点があったために破棄された土鍋や食器など。厳しい検査の結果が伺えます。

縁に欠けを発見。どんなに小さな欠けも傷も見逃さずにチェック。

まず向かったのは「土練どれん」の作業。
さまざまな地方より原料を厳選して取り寄せ、その原料から作られた独自の土を練り合わせて生地にしていきます。ここで大切なのは、土の硬さだといいます。
「機械で測っていますが、職人が指先でも確認するようにしています。柔らかすぎたり硬すぎるものは、再度練り直したり、配合を変えたりして、適切な硬さに仕上げていきます」と飯田さんが教えてくれます。
同じ場所から仕入れた土でも、採取する山の場所や状態、季節によって性質が変わってしまうのだそう。同じ土を混ぜたからといって均一な仕上がりになるとは限らないのです。
「少量の土で素焼きをし、検査をしてから、また配合を考えるというように、試作を繰り返すんです」と鈴木さん。原料の選定や土練の作業は、のちの成形や焼きなど全ての工程を左右してしまうので、とても大切なことなのだそう。
「自社で原料の仕入れから手がけているからこそ、あらゆる改善に臨機応変に対応できるということなんですね」と松浦さんも大きくうなずきます。

機械を使って土を練りますが、仕上がりのチェックは職人の指で。

土の塊が入った型がまわりながら、少しずつ土鍋の形に仕上げられていきます。

次の工程は「成形」。
「土練」によって適度な硬さに仕上げられた土が、大きな機械式のろくろによって次々と土鍋の形に変わっていきます。機械ではありますが、ここでも数人の職人がついていて、サイズと土の硬さのチェックを行っています。

乾燥したら、表面を削ってさらに形を整えていきます。

次の工程は「成形」。
「土練」によって適度な硬さに仕上げられた土が、大きな機械式のろくろによって次々と土鍋の形に変わっていきます。機械ではありますが、ここでも数人の職人がついていて、サイズと土の硬さのチェックを行っています。

土の塊が入った型がまわりながら、少しずつ土鍋の形に仕上げられていきます。

乾燥したら、表面を削ってさらに形を整えていきます。

成形後に「一焼きいちやき」と呼ばれる焼成しょうせいの工程へ。
この時の温度は800〜900℃。お米をおいしく炊き上げるための熱伝導率性を高める成分である「炭化ケイ素」を加えることで、新たに加わった工程だといいます。
「炭化ケイ素は高温で焼くと酸化して本来の力を発揮できなくなってしまいます。まず最初に低温で焼いて、しっかりと定着させるようにしたんです」と宮嶋さん。
「焼く工程を増やすというのは、時間も手間もかかって大変なことだと思います。それだけ炭化ケイ素の効果は大きいということなんでしょうね」と話しながら、松浦さんは興味深そうに窯の中をのぞき込みます。

窯の中には土鍋が次々と流れ込んでいきます。外気や湿度に合わせ、温度管理をするのも大切な仕事。

「一焼き」を終え、またサイズなどのチェックを行なって合格したものは「二焼き」の工程へ。
鈴木さん曰く「1200〜1300℃の高温でしっかり焼きしめていきます。ここで土鍋の硬さが決まります。ここに限らず、焼きの工程は、湿度や気温によって微妙な温度調整が人の手で必要なんです。試し焼きをしてから温度を決め、仕上がりを確認して、また調整していきます」。
大きな窯に任せればいいというわけではないのです。

計測するだけでなく、見たり触ったり聞いたりしながら、たくさんのチェック項目を一つずつ丁寧に確認していきます。

「二焼き」が終わったら「締焼検査しめやきけんさ」という本格的なチェックが始まります。
内径、外径、高さなどのサイズや重さの確認のほか、底面の安定度合いを計る、欠けや傷を見る、内側に異変がないか叩いて音を聞くなど、細かな検査をしていきます。検査項目は10カ所以上にも及ぶもの。検査する職人の前には、項目ごとにカウンターが並んでいます。
「ただ、ダメなものをはじくのではなく、カケが多いのか、内径が揃っていないのか、問題のあったものの数をきちんと把握するためです。それを解消して次へつなげることが大切なんです」と飯田さんが教えてくれました。
丁寧にチェックしていく職人たちの様子を見ながら「計測のための機械を使ってはいますが、指先で表面を撫でてみたり、丹念に細かく見たり、音を確認したりと、しっかりと時間をかけて、人の目と手、耳を使ってチェックしていかなければいけないんですね」と松浦さんは納得の様子。

厳しい検査項目をクリアしたものが次の工程へと運ばれるのです。

工程ごとに確認はしますが、ここでしっかり問題点をカウントすることで工程を見直すこともあるのだそう。

次回は、この後に続く仕上がりまでの工程を巡ります

撮影:相馬ミナ 文:晴山香織

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