〜松浦弥太郎が見て、体験する〜
手仕事から生まれる
最高の土鍋 #2

〜松浦弥太郎が見て、体験する〜

手仕事から生まれる最高の土鍋 #2

ふっくらもっちりした食感に、香ばしいおこげ。
噛みしめるほどに広がる香りと甘み。
そんなかまどで炊いたようなご飯を実現するべく、
タイガーのグランエックスシリーズの炊飯器は、
日々、進化してきました。
内釜の土鍋に新素材を導入することで、
よりかまどに近い火力、
熱伝導の良い状態を生み出しています。
どのように「プレミアム本土鍋」が
作られているのかを知るために、
「グランエックスクラブ」
クリエイティブディレクターの松浦弥太郎さんが
三重県四日市市の工場を訪れました。

金属製の内釜よりも、耐熱性、蓄熱性が高いという優れた性質を持つ「プレミアム本土鍋」。
前回はしっかりと焼き締める「二焼き」の工程を終え、細かなチェックを行うところまでを紹介しました。
2回目は続きの工程から仕上がりまでを追います。前回同様、製造部長の宮嶋和彦さん、セラミック営業次長の飯田正久さん、セラミック営業課長の鈴木公規さんに加え、技術部長の阿部志津恵さんも説明に加わってくださいました。

※撮影のため帽子を脱いでいます。

しっかり焼き締められた土鍋に黒い釉薬をかけたら、次は「三焼き」の工程へ。
「前回よりも少し低い1100〜1200℃になります。釉薬に適した温度設定にしています」と宮嶋さん。
松浦さんはその横で「ここでもさらに細かくチェックするんですね」と驚いています。
焼きあがった土鍋を一つ一つ手に取り、サイズを測り、傷や欠けを確認し、音をチェックする職人の姿を見つけたからです。釉薬がムラなくかかっているかはもちろん、焼き締め後に丹念に確認作業をしていますが、モレがないかを再度チェックしているのです。

一つ一つ丁寧に確認する職人にただただ感心する松浦さん。

そして、次は「発熱体貼付はつねつたいてんぷ」の工程へ。
阿部さんが、開発当初の話を交えて説明してくれます。「発熱体は、IHと反応するもので、本体からの熱を土鍋に伝えるために必要です。底面だけでなく、カーブのある側面の下部にも貼ってほしいと開発側から要望があり、できるかどうか心配でした」。
ミヤオカンパニーリミテドでは、それまで底面に発熱体を貼ったIH対応の土鍋を作っていました。しかし、炊飯器の場合は、底面だけでなく、側面からも熱を伝えることで熱伝導性や蓄熱性を高めようと試みることに。熱を伝えるためには、発熱体に切り込みを入れたり、重ねたりはできません。カーブに沿わせて、少しずつ伸ばすようにしながら貼るという手法を採用することにしたのだそう。
「貼りやすいよう、シートの形状や薄さは幾度となく試行錯誤して開発しました。貼る時には微妙な力加減が必要なので、一つ一つ、まったくの手作業で仕上げています」と阿部さん。職人は手際よく次から次へと貼っていきますが、水につけたシートが乾かないよう、こまめに水分を足したり、ヘラで丹念に表面を撫でたりと、細かでていねいな作業が行われています。

発熱体シートは薄く破れやすいのですが、力を入れて伸ばさなければならず、熟練の技術が必要です。

松浦さんも貼付の作業を体験。「簡単そうに見えましたが、側面に貼るのはかなり難しい。これはかなりの訓練が必要ですね」

熟練の技術によって発熱体が貼られたら、それを定着させるために最後の「四焼き」の工程へ。800〜900℃という発熱体シートの融点ギリギリの温度でじっくり焼き上げます。

最後の焼きの工程を経て、仕上がりへと近づいていきます。

完成したら、最も厳しい最終検査。
今まで何度も繰り返してきたサイズや重さのチェック、土鍋本体に欠けや傷がないか、発熱体にシワや傷がないか、さらに均等に熱が伝わるかなどまで、事細かに計測していきます。ここでも機械を使いつつ、人の目と手でしっかりと。
「光の当たる角度を変えながら、何度も見て、触って確認していきます」と宮嶋さん。
すべてはおいしいごはんのために。

最後の工程のチェックは熟練の職人が手がけます。一つ一つ時間をかけて隅々まで確認。

光の当たり具合を何度も変えて丹念に見るからこそ、本当に小さな傷も見逃しません。

工場内にずらりと並ぶ「プレミアム本土鍋」は、こうしてたくさんの人の手と、おいしさへの追求と情熱を経てできたものでした。

「最初から最後まで、どの工程も丁寧に確実にこなさなければいけないということを実感しました。さらに、いち家電製品に、ここまで工程ごとに細かく丹念にチェックしているとは知らなかったので驚いています。機械も道具も使ってはいますが、結局は人の手なんですね。どの工程も人が加減して進めなければいけないし、確認も人の目と手と耳が大切ですし。まさに『手に勝る道具なし』です」と松浦さんは感心しきり。

ここまで手間と時間をかけて仕上げるのは、おいしいお米を炊くという一つの目的のためです。お米一粒一粒をむらなく、ふっくらもっちりと炊き上げるために、本土鍋は欠かせないもの。そして、本土鍋に欠かせないのは、人の手でした。
おいしいご飯には、人の手だからこそできること、本土鍋だからこそできることがたっぷりと詰まっているのです。

左から、セラミック営業次長の飯田正久さん、技術部長の阿部志津恵さん、松浦弥太郎さん、製造部長の宮嶋和彦さん、セラミック営業課長の鈴木公規さん。

撮影:相馬ミナ 文:晴山香織

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